支援技術の向上のためには学びと実践を繰り返していくことが大切です。本研修では、実際に1名の自閉症の方に協力していただきました。さまざまな事業所の方でチームを作り、その方にあった自立課題を作成したり、環境設定を行いました。
R4年度は「よか」を過ごすことが難しく、自分のエリアから出てしまったり、こちらが期待している行動に結びつかないことが多いケースでした。関わっているチームメンバーの中でも活動の設定に悩んでいたこともあり、今回のワークショップを通じて、事業所の枠を超えて色々な意見をいただくことで、支援が一歩先に進んでいけたらと考え、協力者の方に声をかけさせていただきました。
前原塾
社会福祉法人はるにれの里の地域支援員 前原一平氏による勉強会通称「前原塾」を各回行いました。
各回のテーマに合わせて
第1回は余暇について、構造化について
第2回は学習スタイルについて
第3回はスケジュールについて
の座学を行いました。ちょっと難しい専門的な用語が出てきましたが、わかりやすく説明をしてくれています。
20分じゃ足りないですね。まだまだ聞きたい前原塾でした!
LINEのオープンチャット
各回の間にもコミュニケーションをとる時間を作れないかと考え、LINEのオープンチャットを活用してみました。それぞれ違う事業所の職員同士のチームなので、メッセージを見る時間も送れる時間も異なるので、メリットデメリットがありましたが、活発なコミュニケーションの場として活用ができたかなと思います。
今度はコミュニケーションの時間を設定するなど、さらに見やすく話しやすい場として有効に活用できるようにしていけたらと思います。
3回の流れについて
3ヶ月にわたって、月に1回のワークショップを行いました。
1回目はご本人に合った自立課題を作成しました。当日はご本人の参加ができず、前原氏にご本人役として自立課題に取り組んでもらいました。実際に行ってみると、目線が低くて注目ができなかったり、細かいモノだとうまくつまめなかったり、端にあるものが見えなかったりと、やってみてわかることがたくさんありましたね!
2回目は「よか」を教える。でした。「よか」の幅は広く、楽しいことだけではなく、ゴミの分別や洗濯物を干したりする家事やまったりと音楽を聴いたり本を見たりするのも「よか」ですね。枠組みをしっかりと整えて、わかりやすい環境を考えてもらいました。いきなりはできないので、まずは「教える」ことが大切です。1対1の場面を作り、必要な部分は支援者が教えてあげながら1つ1つの活動に取り組んでいただきました。
3回目は「つなぐ」です。
各グループで前回教えた活動を繋いで、30分程度の時間を自分の判断で過ごすことができるように環境を整えました。
1回目のセッションでは前回の内容をさらに工夫し、教える内容や工程があれば支援者がエリアに入って活動に取り組まれています。
2回目のセッションでは1回目の活動を踏まえて、自分で見て、自分で判断してができるようにさらに環境を整えてもらいました。次の活動を示すカードの置き場所を工夫したり、複数の工程がある活動に関しては、自分で情報をキャッチして次の工程に取り組むことができるように工夫したりとチームで話し合って環境を整えていきました。限られた時間の中で活発にチームでコミュニケーションをとり、シミュレーションをしている姿は輝いていましたね!
座学と利用者の方交えての実践を全3回、広い意味での余暇支援に取り組みました。
思い切った企画でしたね。
座学を担当しました。拙い内容でしたが、少しでも何かしらの契機になったなら幸いです。
上手く行ったかどうか、支援の評価はあくまで利用者の方が教えてくれるものと思います。対人支援は奥が深いでですね。
ご一緒してくれた皆さんありがとうございました。
何より今回参加くださった協力者の方。
ワークショップでは驚きと発見が幾つもありました。
本当にありがとうございました。
社会福祉法人はるにれの里 地域支援員 前原一平
3か月に渡って一人の利用者さんの余暇を考える取り組みでしたが、こんなに多くの方が関わって試行錯誤を繰り返しながら完成させていくということは
めったにないことですし、貴重な機会でした。
たまたま1回目はご本人登場、ということにならず、情報のみで余暇支援を組み立てなければならない状況でしたが
特性やアセスメント結果表から読み取った内容がご本人の力量と大きくずれることもなく、2回目以降の実施場面でご本人もスムーズに実施できていましたね。
また、オンラインでもオフラインでも話し合いがサクサク進み、参加されている皆さんの支援力にも尊敬と感嘆のことばしか出てきません。
会場でもお話ししましたが、協力してくれた利用者さんの可能性を新たに気づかせていただきました。
時間があれば、もっと事業所間の情報交換などもできたらよかったのですが、またご縁がありましたらお話しできる機会があるとよいなあと願っております。
社会福祉法人はるにれの里 地域支援員 上田生子
今回ご協力していただいた協力者の方に心より感謝を申し上げます。
また、受講していただいた皆様本当にお疲れ様でした。
また次年度もよりブラッシュアップしてワークショップが実施できることを願っています。
SKN事務局 中幡恵太
感想